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外科の焦点
膵頭十二指腸切除の工夫
A devise in pancreatoduodenectomy
本庄 一夫
1
Ichio HONJYO
1
1金沢大学医学部外科
1Surgical Clinic Kanazawa Univ. School of Medicine
pp.1065-1071
発行日 1962年10月20日
Published Date 1962/10/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407202985
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膵頭十二指腸切除の対象となる膵頭癌ならびに膨大部領域癌Carcinoma of the periampullary areaの切除率は,当教室の統計では膨大部領域癌の70%に対し,膵頭癌のそれは約15%に過ぎず非常な低率である.勿論このような傾向は一般的なものであり,Jefferson Davis Hospitalの最近(1949年から1958年まで)の報告を1例にとつても,膵頭癌患者88例中,膵頭十二指腸切除を施行し得たのは16例で,その切除率は18%であり,個人的にこの領域の最も多い手術経験を有するCattellも膨大部領域癌の切除率は25ないし30%であり,膵頭癌のそれはさらにこれを下廻るであろうと述べている.本邦の全国的統計は吉岡氏によつて報告されているが,膵頭癌342例中切除例は86例で切除率は25%であり,膨大部領域癌では56例中切除例48例で切除率は86%に近い.このように本邦集計例では欧米より比較的切除率はたかいのであるが,切除適応範囲のひろいこと他面手術死亡率のたかいこと等を斟酌せねばならないだろう.
いずれにしても,膵頭癌のすくなくとも主腫瘍剔出は,他の消化器癌のそれに比して困難なることが納得される.
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