特集 手こずつた症例―私の経験した診断治療上の困難症(Ⅱ)
胃炎出血
浜口 栄祐
1
,
宮川 兜
1
,
星子 直躬
1
,
野中 拓之
1
,
平間 栄生
1
,
松尾 泰伸
1
,
松崎 淳
1
,
宮永 忠彦
1
,
山上 明倫
1
,
畑 宏
1
,
牧田 憲太郎
1
,
山田 栄一
1
1東京医科歯科大学
pp.817-826
発行日 1962年8月20日
Published Date 1962/8/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407202952
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序
上部消化管からの急性出血が問題にされるのは,出血源の診断がしばしば困難であり,また出血が時に致命的でさえあるという事実に依つている.
それまで全く無症状に経過していた者に突如として吐血,あるいは失神を来す程の下血が現われ急激にSchock状態に陥入るような場合も少なからず経験され,Schock状態の改善に努力しても余り効果が無く,緊急手術を余儀なくされる場合には,術前の診断が不確実なまま手術を行うことになるが,幸いに輸血・輸液または止血剤の投与などによつて状態が改善され,その後,充分に出血源の検索を行うことが出来た症例においてさえも,術前に正確に出血源を診断し得ない場合が決して稀ではない.
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