外国文献
結腸腫瘍のひろがり方と抗生物質,他
S
pp.22
発行日 1961年1月20日
Published Date 1961/1/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407202699
- 有料閲覧
- 文献概要
結腸癌切除後の吻合部における癌成育を術前術後の腸管内殺菌(抗生物質投与)が高めるといわれて来た.Cohnらはウサギの結腸に,Brown-Pearce腫瘍を移植し,十分に着床し発育したころで,結腸切除,吻合を行つた.まず無菌手術法で,抗生物質を用いず,吻合を行なつた44例のうち,吻合部腫瘍生育は18例であつた.ついで腸内細菌をネオマイシン・テトラサイクリン併用,洗腸消毒で抑制した40手術例では,吻合部の腫瘍発生29例であつた.その大腸菌・レンサ球菌・ブドウ球菌・クロストリジラム等の菌数はずつと少くなつている,この実験結果では,腸内殺菌を行うと,吻合部の腫瘍発生が高率となるという成績になるようである.
腸内殺菌で吻合部に癌発育が多くなるというVink(1953)に一致するわけであろう.Brown-pearce腫瘍の睾丸移植後の転移形成は,レンサ球菌感染で抑制されるという報告がある,これらを考えあわせると,今日外科でふつうに行われている術前術後の腸内殺菌法は再考再検討の余地を残しているようである.
Copyright © 1961, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.