特集 図解 分子メカニズムから理解する婦人科がんの薬物療法
【総論】
Ⅰ 婦人科における抗悪性腫瘍薬の種類と特徴
7.抗悪性腫瘍抗生物質
-a.アントラサイクリン系抗生物質:ドキソルビシン,リポソーム化ドキソルビシン,アムルビシン
山口 建
1
K. Yamaguchi
1
1京都大学大学院医学研究科婦人科学産科学
pp.1261-1268
発行日 2021年11月30日
Published Date 2021/11/30
DOI https://doi.org/10.18888/sp.0000001931
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アントラサイクリン系抗生物質とは,アグリコン(配糖体の糖以外の部分)であるアントラサイクリンにアミノ糖または中性糖が結合した抗生物質の総称である。最初にアントラサイクリン系抗生物質を発見したのはドイツのゲッチンゲン大学の有機化学者Brockmann博士とされる。初めて発見されたアントラサイクリンは,1950年代に放線菌Streptomyces purpurascensが生産する赤色抗菌性抗生物質が単離され,rhodomycins(ロドマイシン)と命名された。この抗生物質は配糖体であり,anthoracyclines(アントラサイクリン系)と総称し,そのアグリコン(四員環構造)をanthoracyclinoneとよぶことが提案された。ロドマイシンはアグリコンrhodomycinoneにアミノ糖L-rhodosamineが結合した化合物であるが,細胞毒性が強く抗菌薬としては開発されなかった。
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