Medical Topics
抗生物質の副作用,他
I
pp.90-91
発行日 1966年7月1日
Published Date 1966/7/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661912814
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抗生物質の出現は近代医学におけるもっとも大きな進歩の一つであり,その使用によって多くの感染性疾患を治癒せしめることができる。一般に抗生物質は比較的副作用の少ないものと考えられているが,とくに長期にわたる使用時にはその副作用につき十分な考慮を払うべきである。さて副作用には大きくわけて3つのもの──中毒性反応,アレルギー性反応,耐性菌の出現によるもの──がある。中毒性反応として有名なものは,ストレプトマイシンによる聴神経障害,ディヒドロストレプトマイシンによる前庭神経障害,クロラムフェニコールによる血液障害などがあるがその他に腎障害,末梢神経障害などをおこすものがある。アレルギー性反応としては皮膚に湿疹,蕁麻疹,結節性紅斑など呈するもの,紫斑,気管支喘息を起こすものなどあるが,もっとも危険なものはアナフィラキシー反応によるものである。とくにペニシリンによるショックは有名であるが,そのものとになるペニシリン注射をうけた人数が極めて多いことも考えねばならぬ。頻度はまれではあるが危険は大きく,注射前によく問診してアレルギーの既往,とくにペニシリンに対する反応のあるときには注射をさけるのが妥当である。皮内反応も役に立つが,一応ショックの対策も考慮しておくべきである。耐性菌の出現によるものとして重要なものは耐性ブドウ菌,耐性大腸菌によるもので,しばしば重い感染症をひきおこすことがある。
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