Japanese
English
症例
虫垂炎を合併せる総腸間膜症の4例
Four Cases of Mesenterium commune with Appendicitis
別府 俊男
1
,
島田 彥造
2
Toshio BEPPU
1
,
Hikozo SHIMADA
2
1東京女子医科大学外科教室
2外科松田病院
1The Department of Surgery, Tokyo Women's Medical College
2Matsuda Surgical Hospital
pp.373-379
発行日 1960年4月20日
Published Date 1960/4/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407202585
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緒言
総腸間膜症(Mesenterium commune)とは盲腸および結腸が,小腸と共通の遊離腸間膜を有し,可動性になつている内臓奇型である.すなわち,人類は胎生期第11週まで大腸小腸が共通の腸間膜を有し,これが出生までに腸管の廻転,癒着,固定が行われて,正常の位置を占めるのである.しかるに,回盲部の不完全廻転,腸間膜の後腹壁への固定不充分な場合には総腸間膜症を惹起する7).軽度のものは,盲腸および上行結腸の一部が小腸と共通の遊離腸間膜を有している場合で,これを回盲総腸間膜症(Mesenterium ileo-coecale commune)と称し,高度のものは,横行結腸前半まで小腸と同一の遊離腸間膜を有するもので,回結総腸間膜症(Mesenterium ileo-colicum commune)と呼ばれるものである.また,本症は腸管および腹膜の発育異常や,腹膜の固定異常,大,小網の発育不全および欠損等をも合併することがある42).
本症は,1850年Bednerが乳児の屍体解剖において発見し,臨床的には1898年Zoege von Ma-nteuffel1)が盲腸軸捻転を合併した本症を発表して以来,多くの報告がある.本邦においては,1928年中田,岡田5)による報告より昭和34年6月までに,記載明らかなものだけでも128例が報告されている.
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