Japanese
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特集 血管の外科
綜説
大動脈縮窄症の外科
Surgical treatment of coarctation of the aorta
杉江 三郎
1
,
田辺 達三
1
Saburo SUGIE
1
1北海道大学医学部杉江外科
pp.765-771
発行日 1967年6月20日
Published Date 1967/6/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407204320
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はじめに
大動脈縮窄症は古く1789年フランスの解剖学者Parisによつて詳細に記載されたが,臨床的に注目されるにいたつたのは比較的近年のことである.1945年Crafoord,NylinおよびGross,Hu-fnagelらがそれぞれ手術成功例を報告して以来,積極的な手術療法が取上げられ,20年間にGross(1964)14)の800例を始め,多数例の手術症例が報告されてきた.
本症は,欧米では多く,1500〜2000人に1人(Abbott),15歳以下の小児12000人に1人(Mu-stard),先天性心疾患中6%(Keith),5%(Nadas)などの頻度でみられている.しかし本邦ではいちじるしく少なく,過去10年間にわずかに137例の手術例が集計されているにすぎない37).また特異なことは,欧米で多くみられる定型例が本邦では少なく,異型例が比較的多い点である.われわれは現在まで,7例の本症を経験しているが,ここでは症例の検討と本症についての文献的考察を加え,問題点について論じてみたい.
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