Japanese
English
診療指針
大動脈縮窄症の心音図
Phonocardiogram of Coarctation of Aorta
吉村 正蔵
1
,
須階 二朗
1
,
佐藤 泰雄
1
,
田崎 公明
1
,
岡村 哲夫
1
,
葉 政華
1
,
浅見 敦
1
,
田村 裕
1
,
高橋 忠雄
1
S. Yoshimura
1
,
J. Sugai
1
,
Y. Sato
1
,
K. Tasaki
1
,
T. Okamura
1
,
S. Yo
1
,
A. Asami
1
,
Y. Tamura
1
,
T. Takahashi
1
1東京慈恵会医科大学高橋内科教室
1Tokyo Jikei-kai Medical College, Takahashi Clinic
pp.549-558
発行日 1959年6月15日
Published Date 1959/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404200779
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I.まえがき
大動脈峡部の狭窄性変化を示す大動脈縮窄症(Coarctation of Aorta)は欧米では多数の研究と報告があるが,本邦では極めて少く病理報告例は昭和4年に1)臨床報告例は昭和7年に2)始めてなされて以来,今日尚成人型でさえも1例報告の域をでていない現状である。しかし近年外科的治療の進歩と相俟ってようやく本症症例の報告が増加し,注目を浴びる様になった。
本症には後述の様に幼若型Infantile typeと成人型Adult typeとがある。また本症の主要症状は第1に上半身の高血圧と下半身の低血圧であり,その著しい時は足背動脈や大腿動脈を触れないことがある。従って自覚症状では上半身は高血圧,下半身は低血圧に随伴する症状があらわれるが,何等の自覚症状もない場合も屡々ある。第2に背部,肩甲部の内下方,鎖骨上下,胸骨両側等の表在性動脈の拡張及び搏動である。第3に著明な収縮期雑音である。この雑音は心基部で聴かれることが多いが,肩甲下部その他の異常部位に最強点を有することがある。心電図では左室負担の像を示し,胸部レ線像では上行大動脈の拡大がみられる。また拡大した肋間動脈の搏動による肋骨下縁の特殊な陥凹または結節(Notching又はScallo—ping)が証明されれば診断は確実であるが,毎常みられるとは限らない。
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