Japanese
English
綜説
脈なし病と異型大動脈縮窄症
Pulseless Disease and Atypical Coarctation of the Aorta.
稲田 潔
1
,
志水 浩
1
,
石合 省三
1
,
小林 一郎
1
,
川本 精一郎
1
Kiyoshi Inadao
1
1岡山大学砂田外科
1Department of Surgery, Okayama University, School of Medicine.
pp.15-24
発行日 1961年1月15日
Published Date 1961/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404200946
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脈なし病は本邦で最初に注目され,詳細に記載された疾患で,近年まで本邦独特のものと考えられていたぐらい我国に特異的に多い疾患であるが,最近は欧米諸国でも多数例が報告されており1),現在ではもはや単なる症例報告は意味がないといえるぐらい比較的しばしばみる疾患である。本症は通常大動脈弓部より上肢および頭部へ分岐する主幹動脈根部の慢性炎症による閉塞性病変であるが,病変が腹部大動脈など下半身の血管まで広範囲におよぶことは稀で,従来の報告にはこのような下肢の血管に搏動異常をきたした症例の記載はほとんどない。私達は最近岡山大学医学部第2外科教室において,脈なし病で上肢のみならず下肢の脈搏に異常のある症例を経験したが,このような症例に関する詳細な記載もなく,また脈なし病と異型大動脈縮窄症との関連について興味ある示唆を与える症例と考えられるので詳細を報告し,両疾患の関係について考察を加えてみたい。
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