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気管枝鏡及び斜角筋淋巴腺の生体截片検査ならびに細胞学的塗抹法による肺癌の診断
pp.288
発行日 1959年3月20日
Published Date 1959/3/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407202354
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組織学的に肺癌である事を証明された42症例に対し検査が行われた.気管枝鏡による生体截切検査では40%診断され,その大部分は重層扁平上皮癌であつて,腺癌のように肺の末梢部にある場合は,本法では屡々決定できない.又‘下葉癌の大多数或いは気管枝主幹に起つたものは本法で決定されたが,上葉の場合では明白に成功率が減少する.(19例中僅かに2例)而して上葉の癌は下葉よりも一般的である故に特に意味深い.前斜角筋淋巴腺の生体截切検査法は悪性腫瘍の存在を組織学的に確定し,又,手術不能を決めるのに,該淋巴腺への転移は,癌の発生部位と組織学的性質によつて異る.即ち上葉癌或いは小気管枝や末梢気管枝に起つた癌の場合には起りやすいが下葉の場合は稀にしか転移しない.又腺癌や区別し難き細胞の癌は転移しやすく,かゝる患者の50%に見出されたけれども,重層扁平上皮癌では少なく,16例中たゞ1例のみ検査陽性であつたに過ぎない.なお本法では淋巴腺を充分とらなければならぬ事が注意されている.痰乃至気管枝分泌物の塗抹標本(パパニコロ)による細胞学的診断は69%陽性(疑陽性を加えれば88%)で,診断の価値ある助けになる.本法は肺末梢部に於ける癌では感度が減少すると云われてきたが,それでも15例中たゞ3例のみ陰性であつた.
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