Japanese
English
特集 吐血と下血
綜説
食道,胃静脈瘤と出血
Bleeding from Esophageal and Gastric Varices
杉江 三郞
1
,
坂本 啓介
1
,
久保 忠
1
1東京大学木本外科
1Department of Surgery Tokyo University School of Medicine
pp.951-960
発行日 1956年12月25日
Published Date 1956/12/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407201896
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食道あるいは胃噴門部の静脈瘤はそれらの部位における粘膜下層の静脈叢が静脈瘤様に拡張膨隆したものであり,その成因としては周知の通り肝硬変症やBanti氏症状群,あるいは日本住血吸虫症等にみるいわゆる門脈圧亢進症の随伴症状としてあらわれる場合が多い.この食道,胃静脈瘤がひとたび破綻出血するとしばしば致命的な吐血を招来するばかりでなく,頻回の吐血を繰返す場合でも結局予後が不良となる点で,外科臨床の上からもひとつの重要な関心事となつている.
またこの食道,胃静脈瘤の出血は他の疾患による出血,たとえば胃潰瘍等の吐血と鑑別診断する上にも問題となり,さらにその吐血に対する処置対策の上からは,むしろその根底に横たわる門脈圧亢進症に対する処置を同時に考慮する必要があり,あるいはまた予め吐血の防止策を構じておく必要もあるという点で実地治療上もいろいろ問題の多い領域である.
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