綜説
新局所麻酔剤Xylocaineの使用経験について
長野 政雄
1
,
小泉 俊郞
1
,
竹田 純一
1
,
石田 茂年
1
1日本医科大学松倉外科教室
pp.489-491
発行日 1956年7月20日
Published Date 1956/7/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407201829
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緒言
近年麻酔の発達は外科領域の進歩発展に多大の貢献をなし,殊に全身麻酔の進歩発達は著しいものがある.然しながら全身麻酔に比して局所麻酔にはなお捨てがたい長所利点が存し,現在外科外来に於ては殆どすべての手術が局所麻酔のもとに行われているので,将来薬剤の改良手技の向上があれば局所麻酔も外科領域の進歩発展に資することは大なるものと考える.1884年Karl,Kaller及びSigmund Freudが局所麻酔剤としてCocaineを使用して以来Dibucaine(Nupercaine,Percaine)Metycaine,Tetracaine(Pontocaine)その他種々の局所麻酔剤が発見合成使用されて来たが,1905年EinhornがProcaine(Ethocaine,Novocaine)を紹介して以来本剤は最も信頼し得る局所麻酔剤として今日一般に広く使用されている.Procaineは毒性はCocaineより低いが麻酔時間が短く且つ不安定であり,Dibucaine及びTetracaine(Pontocaine)はProcaine,Cocaineよりも麻酔持続時間は長いが毒性がかなり大きい等々現在使用されている局所麻酔剤にはなお一長一短がある.1943年StockholmのLöfgren及びLundquistらによつて新しい局所麻酔剤Xylocaineが合成された.
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