日本抗生物質学術協議会第2回東西合同臨床討議会
ブドウ球菌感染症の抗生物質療法
石山 俊次
1,2
Shunji ISHIYAMA
1,2
1關東遞信病院外科
2東京大學
pp.255-264
発行日 1953年5月20日
Published Date 1953/5/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407201238
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抗生物質使用の経驗
化学療法の領域において,ペニシリンの発見が,重金属剤や色素剤あるいはサルファ剤などの基本的な重要さを,いくらかでも減少するものでないことは,H. Assmann & H. Moormannその他の指摘している通りであつて,これらのものはいまなお甚だ有用である.
しかしながらブドウ球菌感染症に対する從来の化学療法剤は,その有効さにおいても,またその適應の範囲においても決して充分満足すべきものではなくて,ペニシリンによつて始めて決定的であり,ひきつゞいて種々の抗生物質が應用されるようになつてから,眞の意味の化学療法が実現されたものといえるであろう.とくにMeleneyの調査に示されているように,いわゆる外科的感染症の80%はブドウ球菌に原因するものであることを考慮すれば,外科領域におけるペニシリンその他抗生物質に期待することの多かつたこともまた充分理解することのできるところであると思う.
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