Japanese
English
綜説
Chlorpromazine(いわゆる人工冬眠剤)と外科
Chlorpromazine in the Surgery
植草 実
1
,
依田 圭司
1
,
永井 文彥
1
,
白石 幸次郞
1
,
菊池 順一郞
1
,
近藤 修
1
,
高野 睦
1
,
上原 豊
1
,
石川 幸二
1
,
阿良田 慶次郞
1
,
千葉 敬七郞
1
,
岩瀨 彰啓
1
,
田原 農夫男
1
,
阿部 令彥
1
,
堀 充
1
,
須藤 政彥
1
,
藤本 哲朗
1
,
加藤 正明
1
,
勝俣 慶三
1
,
加藤 繁次
1
Minoru UEKUSA
1
1慶応義塾大学医学部外科学教室
1Department of Surgery, Keio University, School of Medicine
pp.645-658
発行日 1955年10月20日
Published Date 1955/10/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407201681
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凡そ生体が種類,程度を問わず何らかの侵襲を被ると多かれ少かれ必ず生体反応を起してその生理的平衡を維持しようと努めるのであるが,この生体の反応能力は個体によつて同じでなく,たま侵襲量によつても異る.従つて侵襲の程度と生体の状態によつてはその生理的均衡を保つことは容易でなく,しばしば生体は反応を起すことすらなく,或いはその過程において倒れることになる.このような場合,侵襲から個体の被害を防ぎ生命を守るためには3つの方途が考えられる.すなわち侵襲そのものを小さくするか,個体の防衛能力を強めてこれに当るか,或いはむしろ生体の反応を抑制して生理的平衡の混乱を防ぐかである.従来このために外科臨床で行われてきた方法はこの1,2であつて,努めて過大な侵襲を避け,手術手技に細心の注意を払うと共に,術前後に亘つて全身状態の管理保全に意をつくしてきたのである.いゝかえれば生体の防衛反応能力を保護,増強して侵襲に打勝とうとしてきたのである.しかし侵襲が非常に強い場合,全身状態が重篤な場合にはこの方法を以てしては反応の限界に達し,かえつて疲憊を促す結果となる危険がある.
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