Japanese
English
綜説
栄養輸液としての脂肪,殊に水溶性脂肪酸塩について
On the fat as the nutritious transfusion, especially on the soluble fatty adids salts
大村 泰男
1
OMURA, Yasuo
1
1東京都養育院外科
1Surgical clinic, Tokyo-to Yoikuin Hospital
pp.637-644
発行日 1955年10月20日
Published Date 1955/10/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407201680
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
1.静脈内脂肪輸入の歴史
外科,とくに開腹手術時の栄養法には,その特殊な状態のために,口からは食べられないから,静注栄養法に頼らなくてはならない場合が多い.この時の静注栄養物のうち,すでに糖質としてはブドウ糖,蛋白質としては綜合アミノ酸液が完成されているのだから,三大栄養素の1つである脂肪の静注が着目されない筈はない.
もともと脂肪の避腸的栄養補給は,19世紀に創つてはいるが,現在までは,いばらの歴史をたどつている.初期の頃を顧みると,オリーブ油,胡麻油を非乳化のまゝ皮下,または直腸内へ注入していた.非乳化脂肪を静脈注射すれば脂肪栓塞の危険があり,皮下注射をすれば吸收が悪くて,その注射部位に壊死や化膿をおこしたり,要するに危険を伴うものであつた.
Copyright © 1955, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.