Japanese
English
綜説
兎唇の遺伝学的考察
Genetic Consideration of Nature of Harelips
古庄 敏行
1
Toshiyuki FURUSHO
1
1熊本大学生物学教室
1Department of Biology, Kumamoto University
pp.495-496
発行日 1955年8月20日
Published Date 1955/8/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407201651
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- Abstract 文献概要
兎唇の発生素因については,相当古くから遺伝的素因が与えられるものとする見解は,強く主張されていたが,それが如何なる遺伝様式に依るかについては,Trew(1754),Birkenfeld(1926),Schröder(1931),Sanders(1934),Just(1934)等は,家系調査資料より,各自,それぞれ,単一優性遺伝子,単一劣性遺伝子,多因子発現,不規則発現等,種々論を出している.又,我国でも岩間(1926),江西(1939),穴沢(1941)の調査資料があり,穴沢(1941)は単一優性遺伝子に依るものと結論している.
人間の多くの遺伝形質は,発現不規則な為分析が困難である.この兎唇もこれに類することは,上記の様に文献的に見ても判る所である.それ丈に,又この問題は興味ある点もあり,残された問題である事から,著者は後藤(1955)に伝つて提案された『人間の発現不規則なる遺伝形質を家系調査の綜合資料によつて分析する集団遺伝学的方法」に依つて,外国と日本の調査資料よりいささか遺伝様式の分析を試みたので,こゝに報告する次第であります.
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