Japanese
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綜説
手術の立場からみた僧帽弁々膜症の生態病理の研究
Physiological and Pathological Studies on Mtral Valvular Diseases
吉原 好之
1
,
升田 ヨシヱ
1
Yoshiyuki YOSHIHARA
1
,
Yoshie MASUDA
1
1東京女子医大 外科
pp.17-28
発行日 1955年1月20日
Published Date 1955/1/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407201557
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1.緒言
僧帽弁々膜症の治療が外科的になるにつれて,弁膜の状況を術前に正確に知ることが必要になつて来た.然るに,術前諸検査を実施しても,それが狭窄であるか,閉鎮不全であるかすら判然としないことが少くないのである.又逆に,剖検所見からだけではこの両者の区別も出来ないことさえある.しかし,手術の立場から言えば,弁膜装置の病理的変化を熟知している必要があり,その意味で剖検所見,手術時所見,及び臨床所見等から種々検討して,生体に於ける弁の性状を推定せんと試みた.
僧帽弁々膜症に対して,私達が術前の精密検査を行い,手術時は弁の状態を触診し,不幸にして死亡した症例,17例があるので,これらを材料として種々の点から検討した.しかし,これらの症例は手術死亡例であつて,いわば失敗例である.これらが生体に於ける弁の状態を推定すべき全部であるとはいえないが,これは手術時触診の基礎となるものであるからあえてこゝに発表する.
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