Japanese
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綜説
移動性盲腸の縫縮法変法について—(腸管縦軸索引縫合法)
A modification of Caecoplicatio for Coecum mobile
米沢 徹馬
1,2
,
加納 和雄
1,2
,
山川 明寬
1,2
Tetuba YONEZAWA
1,2
,
Kazuo KANOU
1,2
,
Myokan YAMAKAWA
1,2
1東京慈恵医大高田外科
2駐留軍要員健康保險組合板橋病院外科
pp.129-132
発行日 1954年3月20日
Published Date 1954/3/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407201386
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移動性盲腸はHausmann(1904)に依り始めて命名されたものであるが,我々が日常遭遇する疾患の1つである.又虫垂炎手術に際し,著明な移動性盲腸を認める機会が多いが,可なり強い移動性があつても何等の症状を呈せぬ場合もあり,移動性の程度とは一定の関係は無い様である.我々は症状の有無に拘わらず,虫垂切除時必らず移動性盲腸に対する手術をも施行せるのを立前としている.
手術々式としては縫縮法(盲腸皺襞形成法Delbet 1905. C. ten Horn)により,他の固定法(Wilms),切除法等を行わねばならぬ様な症例に我々は遭遇していない.縫縮法は盲腸上行結腸の両結腸紐を相互に縫着して,その間の腸管壁も内腔に嵌入し,腸管壁を狭少にするのであるが,これにより内容停滞を無くし,腸管機能の恢復を計り,所謂移動性盲腸症状の消褪を企図せんとするものである.術式として極めて簡單であり,多くの人により実施されているのであるが,縫縮法施行後の術後不快症状を発して,我々のもとに来院,再開腹する機会を得たる2症例を経驗,縫縮法は確実に然も丁寧に行わねばならぬことを教えられ,このことから從来の方法を再檢討し,縫縮法変法ともいうべき私案を工夫,これを移動性盲腸患者15例に施行して,極めて確実容易に縫縮法を行い得,且つ又不完全縫縮に続発する不快症状を防止し得る利点があることを確信するに至つたのでこゝに報告する.
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