特集 頸部外科臨床の進歩
頸椎カリエス
飯野 三郞
1
1東北大學醫學部整形外科教室
pp.732-739
発行日 1953年12月25日
Published Date 1953/12/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407201345
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1.發症頻度,性,年齢など
全脊椎カリエスに對する頸椎カリエスの割合を比較的數多い統計のみについてしらべて見ると,表1のように西歐では大體6%〜12%前後を占めるのに對し,わが國の統計では3.2%から5.28%を示し,西歐のそれよりやゝ下廻るように見える。これを更に我々が最近調査した東北大學整形外科10年間における1549例の脊椎カリエスについてやや詳細に觀察すると(表2),性別においては頸椎カリエスは胸椎カリエスならびに胸腰椎カリエスと同じく,男女間に殆んど差を認めない。これに反して腰椎ならびに腰仙椎カリエスがやゝ男性に多いことは,壯年期以後における腰仙椎が急性慢性の外傷で曝露されていることに由來していると云えるのかも知れない。
次に發症年齡について頸椎カリエスと他の部位のカリエスとを比較すると,まことに格段なる差異が認められるのであつて,表2に示すように頸椎カリエスは10歳以下において過半數(66.1%)が發症し,10年代以後はいずれも僅少であるのに對し,胸椎以下のカリエスではいずれも20年代において壓倒的の頻度を示すことは,古來云われている頸椎カリエスの若年における頻發性をこゝにも如實に示してくれたものと云える。
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