Japanese
English
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門脈外科の肝機能に及ぼす実驗並に臨床的研究
Experimental and Clinical Studies on the Liver Function in Surgery of the Portal Vein
小谷 彥藏
1
Otani H
1
1東京大学医学部木本外科教室
1Department of Surgery University of Tokyo Medical School
pp.677-700
発行日 1953年12月20日
Published Date 1953/12/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407201337
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1 いとぐち
門脈の血行を手術的に変換する実驗的試みは古い歴史をもつが,実際に臨床上重要な問題となつたのはごく最近のことである.1936年Rousse—lot1)氏が門脈圧亢進症という概念を提唱し,この治療として1945年Whipple氏2)並びにBlake—more and Lord氏3)が門脈系大静脈系吻合(Porta—caval Anastmosis)を発表してからである.
門脈圧亢進症には肝硬変症とBanti氏症状群などが含まれる.然るに,これらの疾患の門脈圧亢進に対しては,今日までの医学は殆んど無力であった.例えば,肝硬変症の食道胃静脈瘤破裂による出血死は約1/3〜1/4に達するといわれ,また一度出血がおこればその2/3以上は一年以内に死亡するといわれる程4),門脈圧亢進はこれら患者の生命を脅かしている.ここに門脈圧亢進症に対する治療の問題が,血管外科の研究と相侯つて外科領域に新しく登場してきたのである.
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