症例
潰瘍を有せる十二指腸眞性憩室
勝原 幾視子
1
,
高橋 光
1
1東京女子医大病院外科
pp.480-482
発行日 1953年8月20日
Published Date 1953/8/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407201300
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十二指腸憩室は古く,1710年Chomel,1839年Mor—ganiniの病理解剖学的報告に次ぎ,臨床方面より,最初1912年Baron,Barsonyがレ線的に証明し,其の後1914年Forsel Keyが初めレ線学的に診断し,後外科的手術により確証した例を報告して以来,多数の報告がある,我國に於ては,脇坂,本多氏等の本邦最初の臨床報告以来,臨床報告例も増加し,現在では,左程稀有ならざる疾患となつた,しかし本症外科手術例は尚達比較的少く,私達の集めた文献では,手術治癒例数は,36例に過ぎない.
私は此処に,テール様便,胃部圧痛,呑酸嘈囃を訴え,全く胃潰瘍の症状を呈し,之が諸檢査の結果,十二指憩室と診断されしかも潰瘍の併然していた誠に興味ある症例を報告する.これらは実に他病院に於て,胃潰瘍と診断され,入院したものである.十二指腸憩室で潰瘍を証した例は,集め得た我國の文献には見当らぬ.
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