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綜説
大動脈動脈瘤剔除手術—アルコール固定大動脈片移植成功の経驗
Resection of Aortic Aneurysm: A Successful Case with Transplantation of Aortic Graft Preserved in Alcohol
木本 誠二
1
,
角田 正彥
1
,
中島 穰
1
Seiji KIMOTO
1
,
Masahiko TSUNODA
1
,
Minoru NAKAJIMA
1
1東京大學木本外科
1Department of Surgery, University of Tokyo Medical School
pp.753-757
発行日 1952年12月20日
Published Date 1952/12/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407201155
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動脈欠損部を補つて血行を元通りに再建する目的に,同種動脈即ち他人の動脈を移植することが良好な成績を挙げ得ることは現在一般に認められており,吾々もこれを多数の動物実驗で確認した所であるが,実地臨床上の立場から見ると材料の入手が困難であり,完全に無菌的に又死後早期に採取しなければならず,保存も細心の注意を要し,しかも保存期間は大体40日前後に止まるものである.從つてこうした比較的少ない手術には,生かして保存する動脈片を使用することが実地上の意義が少ないことを痛感し,長期且つ安全な方法としてアルコール殊に70%アルコール内に固定保存することを創案,動物実驗で充分その効果を確めた上臨床的に実施しつつあることは本誌3月号に報告1)した所である.吾々は更に研究を進めて,固定死滅した血管でよいならば,生かした動脈で極めて成績の不良な異種移植も可能であろうと推定し動物実驗を重ねた結果は第1表に要約される通り,吾々の予想通りの成績を得た.これもまだ文献に見られない新知見である.
臨床的の実施例も勿論まだ他に報告がないが,吾々は第2表の通り今日まで9例に実施した.その詳細は紙数の関係上本稿には省略し,何れ別の機会に報告することゝして,第7例の腹大動脈動脈瘤の症例を稍々詳しく記載しようと思う.
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