Japanese
English
綜説
超音波の治療的應用について
Study of the Clinical Application of Supersonic Wave
岡 益尚
1
,
奥村 堯
1
,
橫井 浩
1
,
三好 実三
1
M. OKA
1
,
T. OKUMURA
1
,
H. YOKOI
1
,
J. MIYOSHI
1
1大阪大學醫學第一外科學教室
11st Surgical Clinic, Osaka Univeasity Medical School
pp.383-387
発行日 1952年8月20日
Published Date 1952/8/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407201066
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まえがき
現在迄幾多の治療法が案出されたにも拘らず,我々の前には尚多くの治りにくい疾患が残されている.外科領域にも関節疾患,神経痛,下腿潰瘍等がある.これらを癒し,而も簡易に使い得る治療法があるなら,これに越したことはない.幸い簡便な超音波発生装置をつくり得たので,今迄の実験成績に徴して,治療的應用の研究を始めたのである.物理療法として色々なものが行われたが,音波のような振動を使うことは未だ試みられなかつた.工学方面への應用は相当に進んでいるのだが,生物学方面では未だ充分に利用されていない.
私共にきこえない空気振動は20,000サイクル(20KC)以上で,これが超音波といわれているが,その振動数(周波数)を増加してゆけば,特殊の作用を現わすようになる.即ち乳化,凝固,化学変化促進,温勢作用,更に組織破壞,血管拡張,新陳代謝亢進作用等があげられる.これらの中,生物学的作用の研究はWood,Loomis(1927)の発表に始まり,單細胞動物及び小生物が超音波によつて破壞死滅せしめられることが明かにされた.これに引き続き多数の業績が各方面に現れ,我が國でも雄山,矢追,笠原,里見,笹川氏等により興味ある研究がなされてきた.併し超音波の治療的應用については,Pohlmann(1938)が坐骨神経痛に用いた経驗を嚆矢とし,近頃漸くこの方面の研究がドイツに於て盛んとなつている有様である.
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