最近の外国外科
手術例の結果に基きヒルシスプング氏病因に関する新説,他
O.Swenson et al.
pp.290-291
発行日 1951年6月20日
Published Date 1951/6/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407200841
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スウェンソン氏たちはヒルシスプルング氏病に就て從来專らその拡張肥大した大腸に就てのみ注目していたことを指摘したが,同氏たちの考えで,その原因である第一の変化は拡張部よりも寧ろ末梢の肉眼的には正常に見える,拡張しておらない部分に存在するものと云う設を抱いているのである.即ち同氏たちはレ線檢査で先ず対照例に強い蠕動運動が横行結腸から肛門に至ることを確認し,次でヒルシスプルング肉氏病の8例にもその拡張肥大した結腸の部分に同樣の強い蠕動運動の認められることを証明した.殊にこれ等患者中の5例に就ては蠕動運動が大腸の最初の部分から拡張部に波及して行くことも明かに認めた.しかし,8例全部に於てその蠕動が末梢の細い部分には波及しないでその部分では腸管壁か緊張收緊してすることを見た.それ故この場合上方から下方に進む正常の蠕動運動がS字状結腸直腸部及び直腸に波及しないで,この生理的欠陷が慢性腸狹窄と同一の結果を齎すものと著者たるは信じてするのである.
この蠕動の機能不全を有する部分はレ線透視檢査で狹窄した病的腸管と同一の像として見得る.なおこの病的S字状結腸直腸部には神経節細胞の欠損があり,これと異常の機能欠陥との間に関係も存在する樣である.
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