Japanese
English
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肺切除の実際
Practical Lung Resection
赤倉 一郞
1
Ichiro AKAKURA
1
1國立神奈川療養所外科
1Kanagawa National Sanatorium
pp.104-108
発行日 1951年3月20日
Published Date 1951/3/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407200777
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緒言
肺切除は從来わが國では至難の手術と目され,嘗て関口教授,小沢教授等の少数例が報告されたに止つていた.その後わが國の胸部外科の進展とアメリカ医学の紹介と相俟つて最近その樣相を新らたにして肺切除が盛んに,殊に肺結核の外科に於て各方面で行われるようになつてきた.その成績も昔日の面目を一新した感があるが,それには胸部外科に於ける習熟と肺切除の手技の向上のほかに麻醉の進歩並にストレプトマイシン及びペニシリンの力に與るところが多い点を見逃せない.
肺切除の適應症としては肺の惡性腫瘍及び良性腫瘍,肺嚢腫,気管支拡張症,肺結核が挙げられアメリカに於て肺結核よりも肺腫瘍と気管支拡張症がより多く肺切除の対象となつているようである.わが國では事情が異り,肺癌に対する早期診断が未だ不充分であり,気管支拡張症も肺切除の適應として登場すること少く現状は主に肺結核に対し肺切除が行われている.また文献や,話に聞くアメリカに於ける肺切除の実状はあらゆる点で現在われわれが行つている肺切除とはかなりの距りがある.
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