Japanese
English
診療指針
肺切除術後の管理
The postoperative management of pulmonary resection.
宮本 忍
1
Shinobu Miyamoto
1
1日本大学医学部宮本外科教室
pp.163-169
発行日 1959年2月15日
Published Date 1959/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404200728
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まえがき
肺切除術後の再発は3〜5%にとどまることは,最近における内外の文献が一致して認めているところである。しかも,肺切除術の術式の如何を問わず,手術後2〜5年以上を経過すれば90%以上のものが就労の状態に復帰できることはわれわれの経験からも明らかである。手術後から社会復帰までの期間は原病巣と切除範囲の広さによつて強く左右され,例えば1区域の切除で残存肺の再膨脹が良好ならば6カ月後から就労も可能であるのに,一側肺全葉切除の症例で対側になんらかの病巣を有する場合には少くとも2年以上の療養期間が必要である。また,肺切除後の社会復帰を妨げる重大な原因として,気管支瘻・膿胸の如き結核性合併症があることも周知の通りである。肺切除後の再発悪化の原因にはこれらの合併症がかなりの高率において関係している事実も見逃してはならない。それゆえ,肺切除後の管理に当つては定期的なレ線検査と検疫が大切であり,かような方面の管理はどこの施設でも日常行われているところであろう。
われわれは最近,心肺機能検査の方面から肺切除術後の管理を,手術直後と遠隔成績の二方向から試みているので,症例を掲げてそれに関する私見を述べてみたいと思う。
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