特集 術後1週間の患者管理
肺切除術
平田 正信
1
1国立療養所中野病院外科
pp.477-480
発行日 1981年4月20日
Published Date 1981/4/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407207650
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近年肺切除術の対象は,肺癌に代表される腫瘍性疾患が大部分であり,したがつて手術患者の年齢構成は,60歳以上の高年齢層が多くなつている.加齢にともなう肺の器質的変化とともに,循環系,代謝系等の合併疾患をもつていることが多く,術後の管理も,呼吸管理のみならず,血行動態,代謝異常の有無,電解質バランス,栄養状態の把握等,キメ細かい対処が要求される.
術後は第2病日までICUに収容し,呼吸,循環動態の経時的なチェック,過不足のない輸血,輸液,動脈血ガス測定による適切な酸素投与,必要に応じて電解質,酸塩基平衡の補正を行ない,患者を最良の状態におくように努力する.とくに高齢者においては,術後無気肺に陥いることが多いので,気道の清浄には細心の注意が必要である.また肺切除後には,不整脈の発生がよくみられるので,心電図によるモニタリングが必要となる.
肺切除後の合併症は,急速に重篤な状態となる可能性があり,術中はもちろん,術後においても,合併症の発生を未然に防止するよう努力することが肝要である.
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