Japanese
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外科醫のノート
膀胱内の凝血除去法
Elimination of Intravesicular Blood Coagulaut
土屋 文雄
1
Fumio TSUCHIYA
1
1東京遞信病院泌尿器科
1Urology, Tokyo Teishin Hospital
pp.565-566
発行日 1950年11月20日
Published Date 1950/11/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407200729
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- Abstract 文献概要
普通の尿閉はたゞ尿が膀胱内にたまるのであるから尿道狹窄とか前立腺肥大症の特種の場合等を除けば容易にチーマン或はネラートソカテーテルを挿入して膀胱内を空虚になし得るか,さもなくば恥骨直上から長針を刺入する所謂膀胱穿刺によつの容易に膀胱内容を除去し得る. 然し膀胱内容が凝血である時には同じ尿閉でもそう簡單には行かない.
膀胱内に大出血を起すものは往々膀胱内に血塊を生じ,之が見る見る中に大きくなつて膀胱は血尿と云うよりは凝血を以つて充されるに至る. 一般尿閉の場合と同様に下腹部は半球状に膨隆して膀胱濁音は臍部の近くに迄逹し少しの圧迫でも烈しい尿意を誘発する. 尿意促迫は著しく且つ疼痛にかわり腹壁筋肉は緊張,顔貌苦悶状を呈し顏面潮紅,粘膜充血し冷汗淋漓,苦悶呻吟轉々反側し往々狂暴性となつて暴れ廻つたり,叉脱肛を来したり,甚だしきは虚脱に陷ることさえある. かゝる際には膀胱部に外力が作用すると膀胱破裂を起す危險があるから鎭靜剤を與えて鎭圧することが必要である.
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