今月の主題 脳血管障害のトピックス
病態生理
凝血面
塩 栄夫
1
Hideo Shio
1
1京都大学医学部・神経内科
pp.1912-1913
発行日 1984年11月10日
Published Date 1984/11/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402219283
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血液の凝固性と脳血管障害
種々の出血性素因における頭蓋内出血は,ことに若年者の脳血管障害の一つとして忘れることのできないものである.これまでの血液学的検査法は出血性疾患の診断には十分な発達を遂げているが,一方最近重要な位置を占め始めた虚血性脳血管障害における血液学的な所見は,単に出血の裏返しといえない面を持っている.凝固亢進状態はどのようにとらえられるか,またそれが血栓症にどうつながるかについてはまだ十分な知見が得られていない.
凝固因子活性の増大,あるいは阻害因子の減少は一種の前血栓状態と考えることができる.よく引用される例は家族性のAntithrombin III(AT III)欠損症で,血栓症の多発との関係が報告されている.AT IIIレベルが低下する状態として妊娠,経口避妊薬や前立腺肥大治療薬の使用(エストロジェン)などがあり,脳梗塞の発症頻度を増大させるといわれている.
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