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外科より觀た榮養失調症(第2報)—榮養失調症と第3度凍傷
大村 泰男
1,2
,
西山 信雄
1
,
上野 良太
1
,
鹽川 優一
1,3
1東京都養育院附屬病院外科
2東京大學醫學部
3東京大學醫學部佐々内科
pp.344-348
発行日 1948年9月20日
Published Date 1948/9/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407200361
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昨年(昭和22年)と今年の冬季に當病院に收容した患者中,凍傷例が28名程あつた。その全部が東京都内,主として上野地下道から連れて來られ疫者である。28名中の25名が足部第三度凍傷であつて,殘り3名が全身凍傷である。第三度凍傷は滿洲などの如き零下30度,或は40度に達する地域では敢へて稀らしいものでなく,健康人と雖も無防備で,それらの外氣温に曝されゝば第三度凍傷も全身凍傷も不思議でもあるまいが,東京の如き最も氣温の下降した曉方でも零下5度位,これも稀な位で普通は零度前後,しかも日中は5度から10度に上昇して來る地域で觀たのであるから驚きを感ずるのである。そこで,そのよつてくる原因を追究するのが本論文の意圖であるが,先づ経驗した症例を分析してみよう。
男女別では男22名,女6名で,年齢別では20歳代11名,30歳代4名,40歳代6名,10歳代及び50歳代が各々3名となつてゐる。男子の青壯年者に浮浪者が多いことゝ一致するが,高年者に多くないことから動脈硬化症との關係を否定する。老人性壊疽と謂はれる症例との連鎖が少くなる。凍傷患者は何月頃發生したかをみると,1月8名,12月7名,2月6名,3月4名,11月3名となつてゐる。嚴寒の候と一致してゐる。
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