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急性腹膜炎のペニシリン療法
岡山 義雄
1
1名古屋大學齋藤外科教室
pp.349-353
発行日 1948年9月20日
Published Date 1948/9/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407200362
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1 緒言
Flemingがその著「Penicillin, its practiealapplication」に於て記載せる如く,消化管は大多數の微生物の普通の棲息地であり,その多く,例へば大腸菌,プロデウス菌,サルモネラ群の徴生物と共に,チフス,パラチフス或は細菌性赤痢等の微生物は,現代化學療法の寵兒と謳はれたるペニシリンにさへ不感應である。從つて腹部内臓の重大なる感染は,概ね腸管よりの徴生物に依る故に,此の方面に向つてのペニシリンの應用は比較的小範圍を出ない。事實米國に於ては,化膿性腹膜炎はペニシリンの效果範圍外とされたが,最近「蟲垂に原發せる腹膜炎の大量ペニシリン療法」なる報告あり,漸次應用されつつある状況である。余は昭和21年秋腹膜炎血清使用するも殆んど效果の無い蟲垂炎性汎發性腹膜炎に,ペニシリン毎3時間五千單位,總計12萬單位の比較的少量使用なるも,救命せる症例を經驗し,爾來各種急性腹膜炎に對するペニシリン療法を行ひ來つたので茲に報告せんとする。
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