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下腿短切斷に於ける腓骨殘存部の轉位竝に余の創案せる骨膜下腓骨殘存部全剔出術に就て
生駒 光彥
1
1静岡縣農業會共生病院外科
pp.193-198
発行日 1948年5月20日
Published Date 1948/5/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407200326
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第1章 緒言
下腿短切斷端の腓骨殘存部が如何なる運命を辿るかは興味ある問題であるが,之に關する文獻は殆んどない。僅かに1916年R. Hoffstätterが下腿殊に短切斷端の腓骨は脛骨との間に造成される骨橋(Brückenkallus)によつて固定されると説いて居るが,余が昭和18年5月〜19年4月迄の間に取扱つた1136名の下肢切斷者を觀察した結果から見て,短切斷端に於てはかくの如く骨橋造成によつて腓骨端部が固定せられたる例を經驗しないばかりでなく,腓骨下端は種々の方向に轉位し,その爲に斷端は義肢鞘と適合しない結果,高度の疼痛,擦過創更に感染して膿瘍,蜂窩織炎,潰瘍等を生じ,終には義肢の装着を不能に陥らせる事を知つた。この治療法として腓骨の剔出が最も良い方法と考へるが,Neudörfersen, Hoffstätter,高木教授(東大)は腓骨を別出する事によつて膝關節はその機能を障碍乃至は廢すると主張して居る。余は之に對し骨膜下に於て腓骨を剔出する事により術後の膝關節の機能を全然障碍せずして目的を達する事に成功したので,腓骨轉位の頻度,角度,方向等と共に記載して. 諸賢の批判を仰がんとするものである。
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