論説
衞生部の存續を要望する
楠本 正康
pp.2
発行日 1952年5月15日
Published Date 1952/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401201029
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地方自治法の改正案が,成案をえて,近く國會に提出されるはこびとなつた。この改正案の内容には,東京都特別區の區長の任命制度などいろいろの重要問題がふくまれているが,われわれとして特に注目したいのは,地方廳部制の問題である。この改正案によると,人口250萬以上の府縣は,總務,經濟,土木,衞生,民生,農村勞働の7部か,人口100萬以上の縣は,民生,勞働の2部を合して民生勞働部として,合計6部を,人口100萬以下の縣は,總務,經濟,土木,社會勞働の4部を,それぞれ標準部として規定しているのである。つまり人口100萬以下の縣では,標準としては,特に衞生部をおかず,この事務を社會勞働部中に含めているのである。ただ,この場合,地方で必要と認める場合は,公聽會の意見をきき,内閣總理大臣の許可を得て條例で上記標準部以外の部を設けることができるようになつているので,強いて,衞生部を設けようとすれば,100萬以下の縣でも不可能ではない。けれども,標準部中に認められていないことは甚だ殘念である。われわれは,如何なる手續をしても,この設置をはかり,全府縣に衞生部の存置を強く希望するものである。以下,衞生都が,人口の多少にかかわらず,必要の理由を述べることにする。
第1に,衞生行政は,土木行政と同樣に技術を基幹とした極めて特殊な行政である。仕事の性質から獨立した部制を必要とする。
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