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インフルエンザ研究の近況—流行間期のウイールス殘存の問題と流行の形態學
福見 秀雄
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1國立豫防衞生研究所
pp.103-107
発行日 1951年2月15日
Published Date 1951/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401200775
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インフルエンザの研究で現在最も問題になつているものの一つにその疫學,流行病學的研究がある。私はさきに本誌でインフルエンザの疫學に就いて論じたことがあるが,1)そのときには主としてインフルエンザの局地的流行(localized outbreaks)又は單發的症例(sporadic cases)の問題をとりあげ,議論の對象とした。
インフルエンザの研究は1933年にその病原体であるウィールスが發見されてから本格的になり,活溌化したのであるが,その頃から既にインフルエンザの單發的乃至は局地的の流行例が問題となり,Stuart-Harris及びAndrewes等を中心としてインフルエンザと風邪(febrile catarrh)との境域問題として,追窮された。その當時の結論としては,インフルエンザの定型的な流行(臨床的あるいは流行學的意味で)とは別に,流行的には來てもその形がインフルエンザのような形ではなく,もつとだらだらとした流行の波を示し症状の的でも寧ろfebrile catarrhと言つた方が適當と思われる病氣,あるいは症状は,インフルエンザでも,局地的な流行を示したり,あるいは單發的に來たのして,當時の意味ではインフルエンザと呼びかけたものが屡女見られるが,これらのものは彼等研究者の努力にも拘らず,インフルエンザ,ウィールスは分離されない。
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