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坐骨神經痛治療に關する知見補遺
鹽澤 正俊
1
1國立相模原病院外科
pp.89-93
発行日 1948年3月20日
Published Date 1948/3/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407200299
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I緒言
疼痛を主訴として臨牀醫家を訪れる患者は豫想外に多い。而も患者が胸痛特に腹痛を訴へて吾々を訪れるとき吾々は直ちに諸種檢索を實施し飽く迄もその發痛原因の解明に努め,原疾患に對し抜本的治療を加へんとするのが常であるのに反し,所謂腰痛或は坐骨神經痛等を主訴とする患者に對しては生命に關する危險尠きが爲か,從來一般に,その發痛原因の究明は等閑に付され,何等疑問を抱くことなく之を一疾患として取扱ひ,原因探究並に治療に就いては比較的無批判的であるかの如き觀がある。從つてその治療は對症的,姑息的療法の範團に止り,治療成績も亦至極芳しく無いのも理の當然である。
他方所謂腰痛或は坐骨神經痛が患者の日常生活に如何に苦痛を與へて居るか,又個人の作業能力に如何なる影響を及ぼしてゐるか,に想ひを到すとき,之等疼痛に對しても胸,腹痛の場合と同様に科學的メスを加へ,科學的基礎に立脚し,根本的治療を加へる事の必要性を痛感する次第である。
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