研究報告
神經の表面電荷に關する實驗
望月 政司
1
1北海道大學,應用電機研究所・生理部門
pp.160-163
発行日 1949年10月15日
Published Date 1949/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425905478
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1.緒言
Bernsteinの膜説1)に依れば,神經纎維の表面は形質膜をへだてゝ,外側に正の荷電があり,内側に負の荷電があつて,電氣的二重層をなしている,と言ふ。が,それは實驗的には證明せられてはいない。所が,杉2,3)は蛙のM. Semimembranosusの形質膜上の電位分布と抵抗値の分布を,Cu-Zuの模型のそれらと比較することに依つて,正常の形質膜の外面が逆に負に帶電してゐることを,報告している。神經に就いてはHodgkin及びHuxley4)が「ヤリイカ」の,巨大神經纖維の内部に細いカニユーレを一方の電極として挿入し,他方の電極を外部において,兩電極間の電位差を測定し,外側が正に帶電していることを,報告している。だが,この時の電位差は,負傷流を測定する場合と同一系列の電池を構成しており,正常面の荷電についての論據となすには不充分である。
筆者は膜説を追試する意味で,電氣泳動法を應用して,生理的食鹽水中の神經の,動電的表面電荷を測定した。
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