特集 蛔蟲
腸内寄生蟲による腸フレグモーネ
若月 俊一
1
,
津布久 誠
1
1長野縣農業會佐久病院外科第一講座
pp.74-76
発行日 1948年2月20日
Published Date 1948/2/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407200294
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緒言
急性局所性腸炎乃至腸蜂窩織炎に就いては1932年のCrohnの報告を始として,其の報告例は内外共に多數に上るが,其の原因に就いては,或は腸粘膜損傷よりの細菌侵入,血行性の細菌感染,蛔蟲,鞭蟲等の寄生,個體の抵抗状態の變化,自律神經系異常,更にアレルギー等,諸種の要因が唱えられて居るが未だ定説は無い。此等の中,寄生蟲との關係に就いては,本邦に於ては,昭和12年鹽田氏の經驗せる44歳女子の1例及び昭和17年の永島氏の28歳男子の1例計2例のみである。一方蛔蟲による腸閉塞の症例は相當多いが,其の際の腸管の變化に就いて論じたものは殆ど無い。吾々は寄生蟲特に蛔蟲竝に十二指腸蟲の蔓延甚しい農村にあつて,多數寄生蟲(主として蛔蟲の寄生する腸管に手術を加える機會多く,然し其の腸管變化が,所謂腸フレグモーネ又はCrohnの第1型として報告した局所性腸炎と頗る相似た所見を呈することを認めたので,報告して諸賢の御批判を乞う次第である。
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