臨牀例
上口脣に發生せる所謂内被細胞腫の1例竝に本邦文獻に依る統計的觀察
江本 俊秀
1
1東京醫科大學篠井外科教室
pp.66-69
発行日 1947年9月20日
Published Date 1947/9/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407200245
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緒言
内被細胞腫は古來種々論議せられたが,之を淋巴管内被細胞腫,血管内被細胞腫と漿膜,腦膜の内被細胞腫に大別せられ,普通癌種及肉腫とは別個に取扱はれるが,屡々惡性化すると癌腫及肉腫との鑑別は困難である。内被細胞腫は本邦に於ては現在迄368例報告され,其の内,所謂内被細胞腫は27例報告されて居る。又口唇部腫瘍多種ある中,内被細胞腫は1932年吉田氏が上口脣に,1937年長坂氏が上口脣に2例を,計3例報告されたに過ぎぬ。著者は最近東京醫大篠井外科教室に於て此の稀有なる且興味深い上口脣の所謂内被細胞腫を經驗したので茲に其の概要を報告し,併せて本邦文獻に依る内被細胞腫竝に口脣部腫瘍の統計的觀察を試みた。
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