研究報告
所謂異型猩紅熱(假稱泉熱)の疫學的統計的觀察
澤田 收
1
,
鬼頭 はるゑ
1
1名古屋市立城東病院
pp.229-231
発行日 1951年11月15日
Published Date 1951/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401200960
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1.緒言
所謂異型猩紅熱(假稱泉熱)及びその類似疾患に關しては,泉氏の昭和4年の記載を始めとして,齋藤氏,間島氏,伊澤氏,賀屋氏,平石氏,兒玉氏等多數の報告がある。殊に伊澤氏が本症を猩紅熱と區別し,一新獨立疾患と見做し,之を異型猩紅熱と呼稱して以來,學界の注目を惹くに至つた。名古屋地方においても既に當院院長落合博士始め先輩横井,飯田,柳澤,戸谷,横井,中島,廣渡氏等の報告がある。然しながらこれらの報告は何れも本症の集團,一流行性發生例に關するものであつて,散發例についての,疫學的統計報告は余の寡聞未だ之を知らない。當地において,落合院長により本症の存在が確認されたのは昭和17年であつて,余等は茲に昭和17年より昭和25年末に至る9年間に名古屋市立城東病院に入院した本症患者につき,疫學的統計的觀察を行つたので以下報告する。しかしながら,本症の病原體は今尚確定されず,これと普通猩紅熱との鑑別は非常に困難であるから本報告においては,猩紅熱の本態を,咽頭扁桃腺炎+溶連菌毒素中毒症とし,猩紅熱樣の發疹性熱性病で咽頭溶連菌陰性のものを一括して,異型猩紅熱として扱つた。
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