特集 術前画像診断のポイントと術中解剖認識
Ⅰ.食道
頸部食道癌
安田 卓司
1
Takushi YASUDA
1
1近畿大学医学部外科学教室上部消化管部門
pp.6-16
発行日 2013年10月22日
Published Date 2013/10/22
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407104780
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はじめに
頸部食道癌においては,気管や喉頭への浸潤の有無や腫瘍口側上縁の高さは咽喉頭合併切除の適応を左右する.確かに,合併切除をすれば根治性や術後の安全性は高くなるが,反面,患者には発声機能を喪失するという大きな機能的代償を強いることになる.甲状腺や総頸動脈も合併切除可能な臓器であるが,後者では術前にWillis動脈輪の交通の評価をしておくことが推奨される.さらに,再建は通常,遊離空腸移植で,頸部の血管との吻合が必要であり,手術に際しては癌切除とともに移植床血管への配慮も求められる.
以上を鑑み,本稿では,頸部食道癌の術前画像による喉頭温存の適応判断や周囲臓器へのT4診断を中心に,そのポイントを解説する.
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