特集 術前画像診断のポイントと術中解剖認識
序
桑野 博行
1
1群馬大学大学院病態総合外科学
pp.3
発行日 2013年10月22日
Published Date 2013/10/22
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407104779
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われわれ外科医にとって,「系統解剖」とともに「外科解剖(surgical anatomy)」を熟知することは必須の要件であることはいうまでもありません.しかしながら患者個々において,また各臓器において,解剖のanomalyとともに「variation(変異)」も存在しており,これらを十分に認識しておくことは肝要です.さらに「癌」などの腫瘍は元より,様々の手術の対象となる病変の「存在」「広がり」「程度」「周辺組織との関係」などを十分に把握して,手術適応判断や手術術式設定,そして十分なback up(支援)体制の準備などの術前の対策が求められます.
一方,PETなどの質的診断とともに,CT,MRI,造影超音波検査などの画像診断およびPET/CTなどそれらの組み合わせや,CT画像情報の再構築による3D-CTやCT colonographyなど,画像診断技術の進歩は最近目覚ましいものがあり,手術前の画像に基づく情報は格段に向上してきました.これらによって,術前に個々の患者における状況をより精緻に把握して手術に臨むことが可能となりましたが,このことは一方で,われわれ外科医にとっては詳細かつ高度な解剖の認識のもとで手術を施行することが求められているということです.
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