書評
―竜 崇正(編著)―肝臓の外科解剖―門脈segmentationに基づく新たな肝区域の考え方(第2版)
藤元 治朗
1
1兵庫医大・肝胆膵外科学
pp.1265
発行日 2013年10月20日
Published Date 2013/10/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407104770
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私が竜崇正先生の『肝臓の外科解剖 第1版』を手にしたのはもう7,8年前になる.学会での竜先生のお話を拝聴した後すぐに買い求め,まさに「目からうろこ」であった.それまではHealeyおよびCouinaudの肝区域分類が中心であり,肝静脈を基にした「肝癌取扱い規約」の区域・亜区域分類が一般的であった.しかし実際の肝切除においては,肝臓外科医はこれらが実情に合わないことを経験的に察知していた.すなわち,S5-S8間,S6-S7の画一的な境界などあるべくもなく,また中肝静脈に沿ったmain portal fissureに沿い肝を切離し,右肝のいわゆる「前区域枝・後区域枝」分岐に達しても,必ずしも前区域枝は頭・尾側1本ずつに分岐せずさまざまな分岐形態を有し,またこれらをテーピングして阻血領域をみると,Couinaud分類とはかけ離れた症例が多々存在した.竜先生の本は大変新鮮で「ああ,こういうことだったのか」と納得させられる内容であった.
2009年には日本語版の内容をさらに充実された英語版の『New Liver Anatomy』(Springer社)を発刊され,さらに今回,日本語では第2版となる本書を上梓された.
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