勤務医コラム・50
人生が二度あれば
中島 公洋
1
1慈仁会酒井病院外科
pp.836
発行日 2013年7月20日
Published Date 2013/7/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407104659
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- 文献概要
本誌の読者である外科勤務医の皆さんは,これまでたくさん手術や当直をこなし,ドキドキしたりヒヤヒヤしたりガッカリしたりガッツポーズをしたり,いろいろなことがあったことでしょう.あるいは,その真っ最中かもしれません.
はじめて胃切除を執刀させてもらった晩に,先輩に連れて行ってもらった居酒屋で飲んだあの一杯の酒は旨かった.はじめてのPDでのトンネリング操作,はじめての右葉切除での右肝静脈encircle操作…あの感触は忘れません.退院する患者さんに「ありがとう」と声を掛けられると,すべての疲れが吹き飛ぶから不思議です.逆に,力及ばず悔し涙を流したり,理不尽な事を言うてくる人に辟易したこともありました.忘年会で裸踊りをして教授に叱られたり,美人ナースに酌をしてもらって鼻の下をのばしたりしました.実験や論文作成,あるいは上司の鞄持ちや宴会のセッティングも良い経験となりました.徹夜で学会の準備をして明け方にウトウトし,電車や飛行機に乗り遅れた人もいたでしょう.私もそんな泣き笑いで30年を過ごし,とうとう起承転結の「結」(第12回,65巻5号参照)に突入しました.
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