昨日の患者
ボケ防止の麻雀
中川 国利
1
1仙台赤十字病院外科
pp.863
発行日 2013年7月20日
Published Date 2013/7/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407104660
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- 文献概要
急速な高齢化社会を迎えつつあるが,高齢となっても生涯現役で働く人や趣味の世界に活路を見出す元気な人は多い.そして,一般的に男性は妻が亡くなると家にこもりがちになるが,女性は夫が亡くなっても活動的である.いつも艶やかな服で颯爽と来院し,元気に挨拶をする患者さんを紹介する.
80歳代前半のSさんは,5年ほど前に乳癌の手術を受けた.現在は年に2回ほど外来を受診し,近況を快活に報告してくれる.そこで若さを保つ秘訣を尋ねた.すると,「日々の生活では嫌なことも多々ありますが,くよくよしないことです.また,趣味を持って,友達と楽しむことです」と語った.そこで「どんな趣味ですか」と尋ねると,「夫は10年ほど前に胃癌で亡くなり,子供らも独立して一人となりました.閑をもてあましていたところ,たまたま親しい友人から麻雀に誘われました.やってみると駆け引きが面白く,麻雀の虜になりました.また男友達はみな女性に優しく,何歳になっても紳士的に振る舞ってくれます.ときには会食をし,少しのお酒で話も大いに盛り上がります.しかしながら,賭け麻雀は絶対にしないことにしています.友達を失うことになりますから.また,はまることを避けるため,必ず止める時間を決めてから始めています」
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