Japanese
English
臨床報告
直腸癌管腔内implantationにより発症した転移性痔瘻癌の1例
A case of anal fistula cancer developing from the intraluminal dissemination of rectal cancer
森藤 雅彦
1,2
,
藤本 三喜夫
1
,
宮本 勝也
1
,
横山 雄二郎
1
,
中村 浩之
1,3
,
中井 志郎
1
Masahiko MORIFUJI
1,2
1広島記念病院外科
2さんむ医療センター
3JA広島総合病院外科
キーワード:
転移性痔瘻癌
,
管腔内播種
,
直腸癌
Keyword:
転移性痔瘻癌
,
管腔内播種
,
直腸癌
pp.857-863
発行日 2013年7月20日
Published Date 2013/7/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407104654
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要旨
患者は58歳,男性.10年前から痔瘻にて近医で加療されていた.肛門左側にできた腫瘤が急速に増大してきたため,近医にて局所麻酔下に腫瘍と瘻管を切除したところ,病理組織学的に高分化腺癌,surgical marginが陽性と診断された.追加治療の目的で当科を紹介された.肛門から10 cmの直腸に全周性腫瘍と肝転移を認め,直腸腫瘍は高分化腺癌と診断された.直腸癌の痔瘻への管腔内転移と考え,腹会陰式直腸切断術および肝部分切除(S6, S7)を施行した.術後の病理組織所見で直腸癌は会陰部の残存腫瘍との連続性はなく,ともに高分化腺癌で組織型も同一であることから,管腔内播種による転移性腫瘍である可能性が高いと診断した.大腸癌,特にS状結腸から下部の癌の痔瘻合併症例では管腔内播種による転移の有無を,逆に痔瘻癌と思われる症例では口側大腸癌の有無を考慮した術式と治療方針を考慮する必要があると思われた.
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