昨日の患者
ガンちゃん,よろしく
中川 国利
1
1仙台赤十字病院外科
pp.134
発行日 2012年1月20日
Published Date 2012/1/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407103926
- 販売していません
- 文献概要
どんなに修行を積んだ人でも,また,どんなに徳が高い人でも,死を前にするとたじろぎ恐れおののくのが常である.しかし,ごく稀には従容として死を受け入れる,高齢者の患者さんも存在する.
Uさんは90歳代前半で,3年前に下血を主訴に来院した.下部消化管内視鏡検査を行うと直腸癌を認めたため,直腸前方切除術を施行した.外来で経過観察をしていたら,肝臓に多発性の転移をきたした.高齢にもかかわらず元気なため,肝切除や強力な癌化学療法も考慮した.しかし,Uさんは「もう結構です」と拒否された.そこで,副作用の少ない経口抗癌剤治療を勧めた.
Copyright © 2012, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.