特集 外科医のための最新癌薬物療法
Ⅰ章 臓器別薬物療法
8.胆道癌―①術前療法
片寄 友
1,2
,
力山 敏樹
2
,
中川 圭
1,2
,
江川 新一
2
,
海野 倫明
2
Yu KATAYOSE
1,2
1東北大学大学院医学系研究科統合がん治療外科学講座
2東北大学大学院医学系研究科消化器外科学分野
pp.190-195
発行日 2011年10月22日
Published Date 2011/10/22
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407103804
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術前療法の適応とレジメン選択
術前療法の適応
胆道癌には,胆管癌,胆囊癌,十二指腸乳頭部癌があるが,化学療法の標準治療も定まっておらず,現在,胆管癌に対する術後補助療法の検討が行われているところである.そこで本稿では,胆管癌について述べることとする.
胆管癌治療の基本は外科切除であると考えられており,様々な工夫がなされてきた.たとえば肝門部胆管癌で尾状葉を合併切除する,あるいは門脈塞栓術にて断端陰性化と安全性向上をめざしたり,また術前術後の栄養管理を含めた周術期管理の改善により治療成績が向上してきている.しかし,胆管は解剖学的に動脈,門脈など主要な脈管が隣接しており,剝離面に癌が遺残しやすく,また胆管の肝側には肝臓,十二指腸側には膵臓があり,根治切除が困難なこともあり,胆管癌は常に局所再発のリスクとのバランスから治療が考えられている.また,胆管癌の生物学的な特性から,上皮内進展や神経周囲浸潤も多く,十分断端から距離を置いて切除したと考えても,腫瘍が切離断端付近まで存在することも多い.
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