特集 外科医のための最新癌薬物療法
Ⅰ章 臓器別薬物療法
7.肝癌―③塞栓術(TACE)
山浦 秀和
1
,
稲葉 吉隆
1
,
佐藤 洋造
1
,
加藤 弥菜
1
,
井上 大作
1
,
栗延 孝至
1
,
佐藤 健司
1
,
加藤 久晶
1
Hidekazu YAMAURA
1
1愛知県がんセンター中央病院放射線診断・IVR部
pp.177-182
発行日 2011年10月22日
Published Date 2011/10/22
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407103802
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迷路のような血管の中でマイクロカテーテルを駆使して腫瘍へと到達し,集中的な攻撃を仕掛ける肝動脈内化学塞栓療法(TACE)は,時に映画「ミクロの決死圏」に例えられる.しかし,世代が違う筆者は「ミクロの決死圏」といわれてもあまりピンとこない.現在,TACEに携わる医師には,むしろ「ドラえもん」のほうがこのSF的な冒険の主役としてイメージしやすい世代も多いのではないだろうか?
TACEの要は癌の栄養動脈を遮断することであり,これさえ忘れなければ,抗癌剤を使用しなくても癌を壊死へと導くことが期待できる.よって,TACEで使用する抗癌剤が,おまけのようなイメージでしかないIVRistは多いかもしれない.しかし,2004年に発売されたシスプラチン製剤(アイエーコール®)により抗癌剤そのもののパワーが示され,また,欧米で普及している球状塞栓物質ビーズを用いた塞栓術がわが国で始まろうとしている今,従来の血流遮断ありきのTACEではなく,抗癌剤のパワーを利用した新しいTACEを模索する必要性が出てきている.
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