Expertに学ぶ画像診断・7
画像強調観察:FICE(上部)
三宅 一昌
1
,
楠 正典
1
,
名児耶 浩幸
1
,
小高 康裕
1
,
進藤 智隆
1
,
植木 信江
1
,
河越 哲郎
1
,
二神 生爾
1
,
坂本 長逸
1
Kazumasa MIYAKE
1
1日本医科大学消化器内科
pp.1230-1235
発行日 2011年9月20日
Published Date 2011/9/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407103720
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はじめに
内視鏡的粘膜下剝離術(endoscopic submucosal dissection:ESD)の開発によって,より高い癌の完全切除率を得ることが可能となった.高い治療効果を得るには,より精度の高い内視鏡診断が求められるようになり,内視鏡機器は飛躍的な進歩を遂げている.特に,内視鏡画像の高画素化および拡大機能に加え,デジタル法や光デジタル法を代表とする画像強調法によって内視鏡イメージングは急速に向上している.
デジタル法の1つであるflexible spectral imaging color enhancement(FICE)は2005年に三宅洋一教授(千葉大学フロンティアメディカル工学研究開発センター)と故 神津照雄教授(千葉大学医学部光学診療部),フジノン株式会社(現 富士フイルム株式会社)によって共同開発された,分光推定画像を使用した画像強調内視鏡(image-enhanced endoscopy:IEE)である.今後,内視鏡の検査にFICEを併用することで,生検やルゴール散布などによる被検者への負担を最小限にとどめるとともに,より緻密な内視鏡診断(存在診断,範囲診断)が可能になるものと期待される.
本稿では,このFICEによる上部消化管内視鏡検査における現状について述べる.
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