Expertに学ぶ画像診断・3
画像強調観察:NBI(上部)
豊泉 博史
1
,
田尻 久雄
2
Hirobumi TOYOIZUMI
1
1東京慈恵会医科大学内視鏡科
2東京慈恵会医科大学消化器・肝臓内科/内視鏡科
pp.480-487
発行日 2011年4月20日
Published Date 2011/4/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407103508
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はじめに
わが国は胃癌の罹患率が高いことから,従来から胃癌集団検診システムが確立されている.そのシステムの進歩とともに早期胃癌の発見率も上昇しており,また,早期胃癌の治療法として内視鏡的粘膜下層剝離術(endoscopic submucosal dissection:ESD)が開発され,以前より根治性の高い治療が可能となっている.早期の段階で胃癌を治療することは胃癌による死亡率を減少させるためにも重要であり,そのための胃癌の早期発見は胃発癌予防と並ぶ癌診療・研究の最大の目標である.
胃癌における従来の内視鏡診断法としては通常内視鏡所見と色素内視鏡所見(特にインジゴカルミン液)が基本であった.これらの検査法は病変の凹凸や色調変化といった腫瘍に特異的とはいえない所見をもとに診断をするため,限界があった.しかし,高画素narrow band imaging(NBI)併用拡大電子内視鏡スコープの開発によって状況は一変した.従来まで困難であった微細粘膜構造や血管模様が直接認識できようになり,腫瘍特異的な所見に基づいてリアルタイムに病理学的診断に匹敵しうる診断が可能となった.
本稿では,現時点における胃癌の診断法として確立されつつあるNBI併用拡大内視鏡を中心に早期胃癌診断学について述べる.
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